一般演題 24 Werner症候群細胞中でのX線被ばく染色体の安定性解析
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概要
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これまでの報告から,放射線を照射されて生存してきた細胞において,遺伝的に不安定な状態が生じ,遅延的に様々な影響が見られることが注目されている. そして,遅延性の染色体異常,特に安定性の染色体異常の増加は,放射線発がんに深く関わっている可能性が示唆されている. 本研究では,ウェルナー症候群(Werner Syndorome;WS)患者由来細胞の遺伝的な背景が,遅延性染色体不安定化にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした. WSは常染色体劣勢の遺伝子病であり,患者は早期老化症状を示す. WS患者は思春期以降に様々な老化様症状が現れ,またWS患者由来細胞の特徴として,分裂寿命の短縮,染色体不安定性を示し,細胞老化に関連した異常形質を示す. 原因となるWRN遺伝子はDNAヘリケース活性,エキソヌクレアーゼ活性を併せ持つタンパク質であることが判明しているが,このタンパク質の生理学的な意義については依然として不明な部分が多い. しかし,これまでに,WS細胞はDNA損傷薬剤であるシスプラチンや4NQOに対して高感受性であることが判明しており,WRNタンパク質はDNA損傷修復に関与する可能性が示唆されている. このWS細胞に微小核融合法を用いて,X線を被ばくした染色体を移入した細胞を作成した. その後,移入した被ばく染色体の安定性をWCP-FISH法を用いて解析した.
著者
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児玉 靖司
大阪府立大・先端研
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児玉 靖司
大阪府立大学産学官連携機構先端科学イノベーションセンター放射線生命科学研究室
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有吉 健太郎
発達期被ばく・放射線防護セ・放医研:放射線生命・先端科学イノベ・産学官連携・大阪府大
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有吉 健太郎
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線生物学
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児玉 靖司[他]
大阪府立大学先端科学研究所
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