東オングル島の地形分類と地形計測(地学部門)(<特集>南極シンポジウム)
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概要
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目的と方法 種々の制約の多い南極地域の地学部門現地調査に側面から協力するために,第1次観測隊の撮影した1万分の1空中写真とそれから図化した5千分の1地形図を基にして,東オングル島の予察的地形分類図の作成と2,3の図上計測を行なった.地形分類は斜面の傾斜(4階級に区分)と表面物質の性状(細粒,粗粒,薄く点在,岩盤露出の4種)を規準に,これら2要素の組合せによって分類単位を設定し,2,3の微地形記号とともに類別図示した.計測は島内に無作為に配布した200地点(Fig. 1)について,高度,傾斜,方位及び地形分類単位を図上で決定し,それらの頻度分布及び相関を検討した.結果 1)分類図及び分類単位毎の性状(面積比,地形的位置,予想される営力)はPlate 1(折込み附図)及びTable 1に示した.微地形と表面物質の記載は一般地形図においても考慮する必要があろう.2)頻度分布その他から6つの高度帯が類別され,既に報告された発達史的知識とも対応している.(Figs. 3〜5, Table 2) 3)斜面傾斜の頻度分布は対数正規型を呈している.(Figs. 6,7)斜面傾斜と表面物質の対応関係(Fig. 9)にはかなりの幅が認められるが,斜面方位(Fig. 12),微地形的位置によって説明されよう.細粒物質及び粗粒物質の存在する傾斜の上限は大略3°及び15°である.4)傾斜別の斜面方位の頻度(Figs. 10,11)には,氷蝕による地形配列の東西性のほかに,南北斜面の非対称(南面が急)が認められる.大陸氷後退後に,日射と卓越風向の影響によって生じたものと考えられる.5)その他,地質による制約,氷蝕後の地形変化について気づいた2,3の事項を附記した.以上のうち1),3),4)について現地で検討されることが望ましい.