アズキとインゲンの接木によって得られた豆によるアズキゾウムシとブラジルマメゾウムシの飼育
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アズキゾウムシCallosobruchus chinensisはアズキではよく育つが, インゲンでは未知の生育阻害物質が含まれているために生育することができず, 1令幼虫で全部死亡する。またブラジルマメゾウムシZabrotes subfasciatusはアズキでもインゲンでもよく育つが, 生育速度はインゲンでより速い。筆者らはこれらの原因となる物質が植物体のどの部分で生成されるかを知る目的で接木による試験をおこなった。インゲンを砧, アズキを穂としてそれぞれ幼苗の時期に接木し, その後つぎのような管理をおこなって穂木のアズキを収穫した。アズキ葉区-接木豆(穂木に結実したアズキ)の成分の生成にアズキ葉とインゲンの根だけを関与させるためにインゲンの葉芽を全部除去する。インゲン葉区-同様にインゲンの葉, 根だけを関与させるためにアズキの葉芽を全部除去する。両葉区-同様にアズキの葉およびインゲンの葉, 根を関与させるために砧・穂木ともに葉芽を残して放置する。これらの処理によって得られたアズキを前記2種のマメゾウムシに与えた結果, アズキ葉区は両種とも無処理のアズキで飼育した場合と変わりがなかったが, インゲンの葉が関与したインゲン葉区と両葉区においては, アズキゾウムシで羽化率の低下が認められ, またブラジルマメゾウムシも, インゲンで飼育した場合と同様な生育期間の短縮が認められた。以上の結果からインゲンに含まれるアズキゾウムシの生育阻害物質の生成にインゲンの葉が重要な関係を持っていること, および, ブラジルマメゾウムシの生育期間に差をもたらす原因となるアズキまたはインゲンに含まれる未知の物質の生成にインゲン葉またはアズキ葉が関与し, 根の影響は少ないと推定するにいたった。なお, 各接木豆は形態的に無処理のアズキと同様であったが, インゲン葉の関与したインゲン葉区と両葉区の豆だけヘソ部に奇形を生じた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1965-09-25
著者
関連論文
- 147. アメリカシロヒトリの生物学的研究 : XXIV. カナダ産アメリカシロヒトリ
- 333 アメリカシロヒトリの生物学的研究 XIX. 休眠期の前にみられる休眠虫の特性(生態学, 昭和44年度 日本農学会大会分科会)
- 317 アメリカシロヒトリの生物学的研究XIII. 若令幼虫の行動における糸の役割(昆虫毒物学, 生態学, 昭和43年度日本農学会大会分科会)
- 161. アメリカシロヒトリの生物学的研究 : VII.幼虫の発育と飼育密度
- 160. アメリカシロヒトリの生物学的研究 : VI.幼虫の集合性の実験的解析
- アズキとインゲンの接木によって得られた豆によるアズキゾウムシとブラジルマメゾウムシの飼育
- 118 アズキとインゲンの接木豆による数種マメゾウムシ類の飼育(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- インゲンとアズキの接木によって得られた豆によるアズキゾウムシの飼育(予報)
- 100 インゲンとアズキ (穂) の接木によって得られた豆によるアズキゾウムシの飼育(昭和38年度日本農学会大会分科会)
- 136 アズキとインゲンの接木豆によるアズキゾウムシの生育 (予報)(昭和36年度日本農学会大会分科会)
- コナガの蛹の体色発現について(一般講演)
- II-A.昆虫生理活性物質をめぐって(日本応用動物昆虫学会第11回シンポジウム記録)
- マメゾウムシ類の比較生態学的研究 : VI.アカイロマメゾウムシの幼虫の攻撃性
- 応動昆の半世紀(1.記念講演:「応動昆の生い立ち」,日本応用動物昆虫学会創立50周年)
- 応動昆の半世紀(記念講演「応動昆の生い立ち」)
- クモの生物学, 吉倉真, (1987), 学会出版センター, 東京, 613pp., 19,000円
- アメリカシロヒトリ成虫の斑紋の発現におよぼす温度・日長効果
- D407 チャバネアオカメムシの発育速度と産卵ひん度(アブラムシ)
- コナガの発育の雌雄差
- ミカンコミバエの産卵能力, およびメチルオイゲノールに対する反応
- コナガの発育零点と発育有効積算温量, およびその地理的差異
- コナガの翅長および産卵能力の季節的変化とその解析
- 127.コナガの季節産卵消長とその解析(予報)
- 141. インゲンマメゾウムシの卵分布と1令幼虫の行動
- 消極的だが防疫が優先(生きたチョウの輸入)
- 403 喜界島におけるミカンコミバエのぼく滅実験 (中間報告)(薬剤防除, 昭和44年度 日本農学会大会分科会)
- 244 インゲンマメゾウムシの卵分布と孵化幼虫の食入分布(生態学, 昭和44年度 日本農学会大会分科会)
- 158. アメリカシロヒトリの生物学的研究 : IV.休眠と光周期
- 35 樹皮下のせん孔虫に対する薬剤殺虫試験(昭和36年度日本農学会大会分科会)
- 315 アメリカシロヒトリの生物学的研究XI. 高温による蛹の発育遅延(昆虫毒物学, 生態学, 昭和43年度日本農学会大会分科会)
- 159. アメリカシロヒトリの生物学的研究 : V.幼虫の体色と光周期
- 146 三種マメゾウムシの成虫給餌が産卵数および生存日数におよぼす影響(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- 92 くん蒸剤 Phostoxin のガス分析法並びに殺虫効果について(昭和37年度日本農学会大会分科会)
- 20 数種マメゾウムシ類の産卵分布(昭和37年度日本農学会大会分科会)
- 71 数種鰓角類 (Lamelliconia) における中腸組織内のアミノ酸の構成の比較(昭和35年度日本農学会大会分科会)