ミナミアオカメムシの生殖組織の変化とその季節的消長の予察への応用
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概要
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総計1,161頭のミナミアオカメムシNezara viridulaの雌成虫を1962年の4月から12月にかけ4〜5日間隔で1回約20頭ずつ解剖し, (1)卵巣の成熟度(5段階), (2)交尾ずみか未交尾か, (3)産卵経験の有無, (4)卵発育の終期になって現われる卵巣小管内の"黒点"の存否, (5)成熟雌の蔵卵数, (6)脂肪体の多少とその細胞の形状をしらべた。また各世代の産卵間における野外での産卵状況を調査するとともに誘ガ灯による捕殺虫数の記録もあわせて参考にした。交尾・産卵・黒点率曲線間の関係から産卵開始日や産卵盛期あるいは終期を越冬世代成虫では数週間前に予察しうる。また各世代の成虫は重なりあって出現するが解剖によれば多くの場合世代間の区別がつくうえ, 年間世代数もわかる。また部分的に第4世代を生じる場合も親世代の卵巣発育度曲線の傾向から予測できる。産卵雌の割合と野外における累積産卵曲線の関係から自然における成虫個体群の産卵回数も推定できる。すなわち産卵末期まで生存した越冬世代成虫では3〜4卵塊, それ以後の世代では平均1卵塊しかうまない。成熟雌の蔵卵数は各世代の野外における卵塊サイズとよく一致した。脂肪体の量は越冬前には増加し越冬後活動の開始にともなって減少する。これはおもに脂肪体細胞の肥大によると考えられる。以上の結果から雌の生殖組織の変化はミナミアオカメムシの季節的消長を予察する上でたいへん有効な手段となりうることがわかった。この方法はひろく他の害虫にも応用できると思われるが, とくに他のカメムシ類については直ちに適用しうると思われる。
- 1963-12-25
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