Bacillus thuringiensis製剤に対する高度抵抗性コナガ系統の育成と維持法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高度のBT剤抵抗性コナガの系統育成とその維持法の確立を目的として,操作性に優れる人工飼料にBT剤を混入して与え,淘汰する方法を試みた.岸和田産個体群を由来とする抵抗性系統は,当初人工飼料で発育できなかったが,既に人工飼料で累代飼育している感受性系統(KUS系統)と交雑させることによって,人工飼料に適応した交雑系統を作出することに成功した.この交雑系統に対してB.t. kurstakiを由来とする2種BT剤,トアロー®水和剤CTとCry1Ac製剤を飼料に混入する方法による薬剤淘汰を行った結果,トアロー®水和剤CTで淘汰した系統(OTR系統)と,Cry1Ac製剤で淘汰した系統(OKR系統)のいずれも淘汰10世代後には同程度の高度なBT剤抵抗性を発達させた.両系統の淘汰直後のLC50値は,トアロー®水和剤CTに対しては33,000ppm (μg formulation/g diet)以上,Cry1Ac製剤に対しては20,000ppm以上であった.また,それらの感受性系統に対する抵抗性比はトアロー®水和剤CTに対しては30,000倍以上,Cry1Ac製剤に対しては45,000倍以上であった.このように,両系統のBT剤抵抗性レベルは類似していたが,それらの抵抗性機構の共通性を論証するには至らなかった.さらに,両系統とも淘汰中止後45∼47世代目まで無淘汰で人工飼料育を継続したところ,いずれも世代経過にともなう薬剤感受性の緩やかな回復はみられたものの,高度な抵抗性は保持されており,本系統の抵抗性形質は比較的安定していることが確認された.
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1999-02-25
著者
関連論文
- ハスモンヨトウに対するBacillus thuringiensis製剤の生物活性に及ぼす植物葉の影響
- 飼料混入法を用いるBacillus thuringiensis製剤のハスモンヨトウに対する生物検定法について
- A206 BT剤のハスモンヨトウに対する生物検定法(昆虫病理学・微生物的防除)
- ツマグロヨコバイにおける殺虫剤抵抗性とアリエステラーゼとの関連について
- BT製剤 (ガードジェット^水和剤) の作物残留分析法
- C101 Bacillus thuringiensis 製剤の鱗翅目害虫に対する殺虫活性と温度の関係
- C209 飼料混入によるBT剤のコナガに対する生物検定法(農業害虫)
- C208 コナガの人工飼料による飼育法(農業害虫)
- A107 コナガを用いたナミテントウの人工飼育法と問題点(飼育法捕食関係)
- ツゲノメイガの生活史に関する研究 : IV.幼虫発育に及ぼす寄主植物の影響
- ツゲノメイガの生活史に関する研究 : III.休眠誘導の光周反応
- BT剤のハスモンヨトウに対する殺虫効果と寄主植物の関係
- 長野県東信地域におけるコナガのBT剤感受性
- D109 BT剤抵抗性の発達に伴うコナガの適応度変化(殺虫剤 作用機構・抵抗性 生化学)
- D108 B. thuringiensis殺虫蛋白(CrylAc)に抵抗性と感受性コナガの中腸消化液の比較(殺虫剤 作用機構・抵抗性 生化学)
- F110 BT剤抵抗性コナガの安定性と遺伝的特性(毒理学・殺虫剤作用機構・抵抗性飼育法)
- Bacillus thuringiensis製剤に対する高度抵抗性コナガ系統の育成と維持法
- E324 コナガのBT剤抵抗性系統の選抜・育成(生物的防除・微生物防除)
- 飼料混入法によるBacillus thuringiensis製剤のカイコ検定 : 4. 1および2検定濃度による致死活性の評価
- 飼料混入法によるBacillus thuringiensis製剤のカイコ検定 : 3.致死活性(LC_)と発育阻害活性(EC_)の比較
- 飼料混入法によるBacillus thuringiensis製剤のカイコ検定 : 2. 発育阻害活性にもとづく評価
- ハスモンヨトウの新規BT剤に対する感受性
- C214 新規BT剤レピターム^[○!R]フロアブルの作用特性 : (2)コナガに対する殺虫活性(病理学・微生物的防除,発生予察・被害解析)
- C213 新規BT剤レピターム^[○!R]フロアブルの作用特性 : (1)ハスモンヨトウに対する殺虫活性(病理学・微生物的防除,発生予察・被害解析)
- 飼料混入法によるBacillus thuringiensis製剤のカイコ検定 : 1.致死活性に基づく評価
- E306 コナガを用いたナミテントウの人工飼育法(寄生・捕食関係・生物的防除)
- C309 コナガを用いたナミテントウの人工飼育法(予報)(天敵・生物的防除・薬理学)
- A207 新規BT剤(KM303)のヨトウムシ類に対する殺虫活性(昆虫病理学・微生物的防除)
- G122 スジキリヨトウとシバツトガの発育特性(害虫管理 総合防除)
- G408 芝草害虫に対するBT剤の防除効果(昆虫病理学・微生物的防除)