柑橘に寄生するカイガラムシに関する生態学的研究 : I.温州ミカンに寄生するカイがラムシ3種のグレイド法による密度推定
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概要
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和歌山県下の省農薬で栽培されている15年生温州ミカン園において, ヤノネカイがラムミ, Unaspis yanonensis (KUWANA), ツノロウムシ, Ceroplastes ceriferus (FABRICIUS), ルビーロウムシ, C.rubens MASKELL の密度推定を4段階のグレイド法で実施し, グレイドごとの平均密度を推定するため, 樹・枝の2段ランダム抽出(2段目はKUNO(1976)による2回抽出)を行った。ヤノネカイがラムシの雌成虫は葉と小枝ともに, ツノロウムシ, ルビーロウムシの雌成虫はほとんど小枝に付着していた。樹どこの空間分布をm-m^^*法によって分析すると, 3種ともコロニーを単位とする集中分布を示した。コロニーサイズ(α)はルビーロウムシがもっとも高く, 集合度係数(β)はツノロウムシがもっとも高かった。3種のいずれにおいても, 各グレイド間の平均密度には有意差が検出され, 95%信頼限界に重なりはなかった。この結果, グレイド法は密度の範囲を推定する方法として有効であることが判明した。温州ミカン園での調査の際には和歌山県海草郡下津町大窪の松本武氏, 仲田芳樹氏に便宜をはかっていただいた。石田紀郎博士(京都大学農学部)をはじめとする京都大学農薬ゼミのメンバーには調査の実施にご協力いただいた。推定法については久野英二教授(京都大学農学部)にご教示いただいた。以上の皆様全員に心から感謝する。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1989-05-25
著者
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