家蚕消化液赤色螢光蛋白の生成機構
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概要
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家蚕幼虫消化液に存在し,抗ウィルス作用を有する赤色けい光性蛋白質の生成について,in vitroの実験を行ない,次の事実を明らかにした。すなわち幼虫中腸磨砕液と緑葉クロロプラストとを,37°C, pH 10.4, 2時間反応させると赤色けい光性蛋白質が生成する。クロロプラストを分画し,80%アセトン可溶性分画と同不溶性分画とに分けると,それぞれ単独ではクロロプラストの代用はできず,両分画が生成に必要である。この2つの分画からそれぞれ有効成分を分離すると,前者からはクロロフィル,後者からは塩基性蛋白質が得られた。また家蚕幼虫中腸の磨砕物中のRFP生成に必要な有効成分は赤色けい光をもたない1蛋白質で,これは人工飼料蚕の中腸および消化液中にも存在する蛋白質と同じものであった。以上の3物質を反応させると,in vitroでRFPは生成される。またこの生成の機構としては,幼虫消化液のアルカリ性下において,クロロプラスト中の塩基性蛋白質がクロロフィルaに作用し,生成した色素が幼虫中腸中に存在する蛋白質と結合し,RFPが生成されると考えられる。すなわちクロロプラスト中の塩基性蛋白質はRFPのクロモフォアの生成に関与する酵素であると推定される。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1974-09-25
著者
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