ヤノネカイガラムシ雌成虫における卵巣の発育と幼虫発生との関係, とくにその予察への応用
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概要
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1964年2月から1965年1月にわたり原則として4∼5日間隔にヤノネカイガラムシの寄生葉を採集し,そのたびにこれに寄生しているすべての雌成虫(総計16,932匹)について介殻下幼虫数,産卵経験の有無,卵巣の成熟度ならびに成熟雌成虫の蔵卵数を調査した。結果の概要は次のとおりである。1) 越冬世代ならびに第1世代雌成虫の卵巣は1令幼虫の発生に先だち,規則的な発育経過を示した。2) 越冬世代ならびに第1世代雌成虫における蔵卵数の消長曲線は介殻下幼虫数の消長曲線に一定期間の幅をもって先行し,ほぼこれと平行的に推移した。3) 介殻下幼虫数の消長と葉に分散定着した1令幼虫の発生消長曲線とは第1・2世代とも平行的に推移し,介殻下幼虫数の消長を調べれば自然状態下における1令幼虫の発生推移をは握することができる。4) 越冬世代雌成虫を解剖して卵巣を観察し,卵が胚盤形成期以上に発育した雌成虫の50%発現日をは握すれば第1世代1令幼虫の50%発生日を約2ヵ月前に予察できる。5) 第1世代雌成虫については卵巣内の卵が卵黄形成期以上に発育した雌成虫の50%発現日を知ることによって第2世代1令幼虫の50%発生日を約1ヵ月前に予察できる。なお,雌成虫における生殖巣の発育経過と1令幼虫発生との相互関係から導かれる以上の予察法は卵胎生するすべての昆虫に直ちに適用することができると考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1969-03-25
著者
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