茶樹を加害するキクイムシ類の生態, とくに根を加害するXyleborus germanus BLANFORDと, 枝を加害するXyleborus compactus EICHHOFFについて(予報)
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概要
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最近, 茶樹にキクイムシによる被害がめだってきた。キクイムシ類, Xyleborus germanus BLANFORD, およびXyleborus compactus EICHHOFFの生態をほ場および室内において観察し, 合わせて, アンブロシヤ菌の人工培養, ならびにキクイムシ類の人工飼育についての2,3の試験を行なった。X.germanusは成虫態で越冬し, 年2回発生する。6月〜7月上旬が第1世代, 8月下旬〜9月が第2世代の発育期となる。成虫は地下約30cmの深さ, 直径1.0〜1.5cmの根に好んで穿孔し, 孔道内壁にアンブロシヤ菌胞子を培養して幼虫の食餌とする。室内における飼育好適温度は21〜23℃で, 25℃を越えると死亡個体が多くなる。X.compactusは成虫態で越冬し, 年2回発生する。7月下旬〜8月下旬が第1世代, 8月下旬〜9月が第2世代の発育期となる。成虫は, 直径5〜8mmの小枝に好んで穿孔し, 孔道内にアンブロシヤ菌胞子を培養して幼虫の食餌とする。孔道の周辺組織は褐変し, これが進展して, 茶樹に枝枯症状をひきおこすことが多い。室内における飼育好適温度は25〜27℃と考えられる。X.germanusおよびX.compactusのアンブロシヤ菌を, それぞれ孔道内壁から分離し, 数種の培地で培養したところ, いずれも菌糸の繁殖はすぐれていたが, 概して胞子の形成が悪かった。これら菌の繁殖適温は, X.germanusの菌では23℃内外, X.compactusの菌では26℃内外であった。X.germanusは材をフラスコ中にて殺菌し, これにアンブロシヤ菌を接種, 繁殖させた培養基で, 一世代を完全に経過することができ, 現在, 二世代目が同一フラスコ内で発育中である。しかし, 寒天培地上に繁殖させたアンブロシヤ菌では, 一世代を通じての飼育はできなかった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1965-03-25
著者
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