Nereistoxin(4-N, N-dimethylamino-1,2-dithiolane)の殺虫作用に関する研究 : 第1報 殺虫効果について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Nereistoxinの殺虫効果を, イエバエ成虫, チャバネゴキブリ成虫, アズキゾウムシ成虫, ニカメイガ幼虫, ダイズアブラムシ, カンザワハダニ, クワコナカイガラ, ハスモンヨトウ幼虫, コナガ幼虫, モンシロチョウ幼虫, キスジノミムシ成虫およびダイコンサルハムシ幼虫を用いて試験した。Nereistoxinは合成した修酸塩(hydrogen oxalate)を用いた。本化合物の殺虫力は同一種の昆虫を供試しても, 薬剤投与法の違いにより異なった。すなわち, チャバネゴキブリに経口投与したとき, およびイエバエに食餌と混合して与えたときには殺虫力は局所施用した場合よりも高かったし, ハスモンヨトウ, モンシロチョウ, コナガ, ダイコンサルハムシ, およびキスジノミムシに食葉に処理して与えたときの殺虫力が高かったことから, 本化合物は経口的に虫体に侵入したときに高い殺虫力を有すると推察される。しかしながら, ニカメイガ幼虫にNereistoxinを局所施用したときは, 仰転作用とともに高い殺虫作用があり, これに反してイエバエに同様の施用を行なってもほとんど作用はなかった。イエバエに注射した場合は強い殺虫力があるので, 昆虫の種によって表皮透過性に大きな差があると推定される。クワコナカイガラに対しては, かなりの殺虫効果または仰転効果があったが, ダイズアブラムシおよびカンザワハダニ(成虫および卵)には殺虫力は低かった。以上述べたように, 本化合物の殺虫力には種特異性があり, 概して吸収口を有する昆虫には効力が低かった。また, 一般に経口毒性が高いと見られるが, ニカメイガ幼虫には接触毒性が高かった。供試虫に対する薬剤投与法が異なると, Nereistoxinは仰転作用のみを示し, 中毒虫は回復して死に到らない場合があった。アズキゾウムシの試験結果に見るように, この回復は一定薬量が虫体に処理されたときに起り, 薬剤に継続接触したときは回復が抑制され死に到ると思われる。Nereistoxinによる昆虫の中毒症状は, 痙れん・苦もんなどの症状がきわめて少なく, 一般の殺虫剤と異なった特有の殺虫作用機構を暗示するものとして興味深い。
- 1964-12-25
論文 | ランダム
- 遺伝的プログラミングと多段ファジイ推論を用いたジャンプ過程を含む時系列生成モデルの同定(画像認識とモデリング,プロセッサ,DSP,画像処理技術及び一般)
- 二つの部分系の間の熱平衡の達成について -数値計算による研究-
- 26pPSA-30 脂質マイクロチューブのブラウン運動(領域12ポスターセッション,領域12,ソフトマター物理,化学物理,生物物理)
- 25aQC-9 キングモデルへのブラウン運動諭的アプローチ(確率過程・確率モデル,領域11,統計力学,物性基礎論,応用数学,力学,流体物理)
- 30aSF-3 完全反射境界面付近での量子ブラウン運動の解析(30aSF 量子力学,非可換時空,ブレーン,重力,素粒子論領域)