アサヒエビグモの発育に及ぼす光周期の影響
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概要
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アサヒエビグモの発育に及ぼす日長の影響を野外と実験室で調べた。1. カンキツ園での定期的な採集調査によると,本種は幼体で越冬し,6月に一斉に成熟,産卵する1化性のクモであった。2. 越冬後の中齢幼体は長日条件(16L: 8D)では発育が促進され,高い成熟率を示したが,短日(11L: 13D)では発育が抑制され,成熟したものはなかった。短日条件の影響は齢期間の延長,背甲幅の伸長率の低下,成熟の抑制などに現れた。3. 長日型の光周反応は10月下旬以降に採集した個体に見られ,12時間前後を臨界日長とするなだらかな光周反応曲線が得られた。発育速度や成熟率から判断すると14時間以上の日長が好適と考えられた。4. 若齢幼体では中齢以降とは逆に,短日条件で発育が促進され,長日条件では遅延した。しかし,日長の変化がない場合は成体まで発育する個体はなかった。5. 若齢幼体を短日条件(11L)に38日間置いた後,長日条件(16L)に移すと,ほとんどの個体が発育し,成熟した。短日型から長日型へ移行するためには,30∼40日の短日条件が必要であった。6. アサヒエビグモの生活環の中で,日長と気温が本種の発育に促進的に働くのは春からクモが成熟する6月までの期間であり,そのため成体が一斉に出現すると思われる。他の季節には日長は発育抑制的に働いており,これが1化の原因の1つであると考えられる。
- 1982-05-25
著者
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