5. 人は口から食べられる間は、人間としての品位と尊厳を、持って生きられる(<総説特集>おいしさと健康)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
75才以上の高齢者では約60%に何らかの摂食・嚥下障害があると言われ、高齢者の死亡死因である誤嚥性肺炎を招いている。他方、誤嚥性肺炎を予防するために鼻腔や胃・腸から安易にチューブ栄養が処置されている。しかし、この50%は物性を規定した嚥下食を段階的に摂取し訓練することで改善する事が明らかになってきている。我々は過去15年間に約2000名、40万食の嚥下食を提供してきた。嚥下食は嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡(VE)、動的粘弾性(G/Pa, Tanδ, η')、電子顕微鏡、官能テスト(χ自乗検定)などから5段階に分類できることを発見した。ゼラチンと寒天の分子量、硫酸基含量、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース含量がゲル形成に影響し、ゼラチンゲル嚥下食の基盤となることを明かとした。人は食物を見て(認知)、口へ取り込み、咀嚼し、食物と唾液から食塊(ゲル)をつくる。食塊ができると、食塊を奥舌へ送り込み、嚥下反射部位に当たると0.5秒で瞬時にゴックンとのみこみ(嚥下)、さらに食道、胃へと送る(蠕動運動)。この一連の行為に機能的あるいは機質的障害をもっていることを摂食・嚥下障害と呼び、これに対応した食事を嚥下食と呼んでいる。間違って気管に入る事を誤嚥という。嚥下食の目的は誤嚥と咽頭残留除去にある。咽頭残留では喉頭外蓋谷(こうとうがいこく)と梨状陥凹(りじょうかんおう)に残留する。カラーゲンを加水分解してつくるゼリーの1.6%濃度は誤嚥と咽頭残留の防止ができる(P<0.01)。これをVF、VE、動的粘弾性、電子顕微鏡、官能テストなどから明らかにし、嚥下食のゲル化メカニズムと関連領域について最新の研究報告をする。
著者
関連論文
- 5. 人は口から食べられる間は、人間としての品位と尊厳を、持って生きられる(おいしさと健康)
- 褥瘡患者における栄養管理
- 2-II-15 茶ポリプェノール類とビタミンCによる皮膚水分保持能の改善 : 第46回大会研究発表要旨
- 医療福祉施設におけるこれからのフードサービス
- 新しい調理形態について
- 何をどのように食べたいか
- 高齢者の食育 (特集 食生活改善から食育へ)
- 嚥下困難な患者に対する栄養 (看護栄養学事始め--臨床ナースに必要な栄養の基礎知識) -- (栄養療法の実際)
- 病院の"食"を考える(第2回)前日オーダーによる"完全選択制"--聖隷三方原病院
- 身体機能の栄養アセスメントに関するエビデンス (特集 「食」の看護とエビデンス)
- 高齢者社会における摂食・嚥下訓練食の分類に対する重要性
- ねたきり高齢者の食事の工夫 (特集 在宅高齢者のケア)
- 後期高齢者の食事 (特集 後期高齢者の医療と生活)
- 高齢者の低栄養に対する栄養治療管理の実際 1.在宅栄養 (第19回日本臨床栄養学会総会) -- (シンポジウム(3)高齢者の栄養とその管理)
- 一次予防としてのトータル教育プログラム"栄養クリニック"