漢字の視覚心像イメージ能力と構成能力の関係についての一考察
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概要
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脳損傷患者20名における漢字の視覚心像イメージ能力,構成能力,知的能力の関係を調べた。漢字の視覚心像課題は,(1)被験者が,聴覚呈示された漢字をイメージし,漢字中の四角の数をかぞえる,(2)(1)と同じ漢字を書字する,(3)解答を見ながら四角の数をかぞえる,であった。構成課題には直方体の模写,知的評価にはHDS-Rを用いた。その結果,漢字の視覚心像イメージ正答数と構成課題成績にかなりの相関がみられた。同2成績とHDS-R得点の間には相関がなかった。右脳/左脳/両側損傷群の3群間には,漢字の視覚心像イメージ正答数の差はなかった。(1)"イメージの生成","(視覚心像において)注意部分の鮮明度を上げる","走査済みのマーキングとその保持"の3つの心的操作が,漢字の視覚心像イメージ能力と構成能力に共通していること,(2)漢字の視覚心像イメージ能力と構成能力は知的能力からは独立していること,が示唆された。
- 藍野大学の論文
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