鼻粘膜におけるNa^+/H^+Exchangerの発現と局在に関する研究
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概要
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Na^+ /H^+Exchanger (NHE)は細胞内外でNa^+イオンの濃度勾配を駆動力として用いてNa^+イオンとH^+イオンを1 : 1で交換輸送することで細胞内pH調節やNa^+イオン,水分輸送を行う重要な膜蛋白である.現在までNHE1〜7のアイソフォームが同定されている.気道において生理学的手法で気道上皮細胞および気道粘膜表面の粘膜層airway surface liquid (ASL)のpH調節にNHEが関与していると報告されている.しかし,気道,特に鼻粘膜におけるNHEのアイソフォームの同定および局在は知られていない.そこで今回ヒトおよびモルモットの鼻粘膜を用いてNHE1〜4のアイソフォームの同定および発現の局在について検討した.まずアイソフォームの同定のためモルモット鼻粘膜のRT-PCRを施行し,NHE1,3のmRNAを検出したがNHE2,4は検出されなかった.つぎに局在を調べるためヒトおよびモルモットの鼻粘膜のin situハイブリダイゼーションを行った.ハウスキーピングであるNHE1は鼻粘膜上皮細胞にのみ認めた.NHE3はNHE1に比べて発現量は少ないが,鼻粘膜上皮細胞に発現していた.NHE3は鼻粘膜上皮細胞だけでなく粘膜固有層にも発現を認めたが,腺細胞にはなかった.以上の結果からハウスキーピングであるNHE1は,鼻粘膜上皮細胞に特に多く発現していることが明らかとなった.上皮細胞およびASLにおけるイオン輸送,pH,浸透圧調節に,上皮細胞の基底膜側のNHE1と,管腔側のNHE3の両方が関与していると考えられた.
- 川崎医科大学の論文
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