租税が長期的な成長率に与える効果:人的資本モデルを用いた分析
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概要
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本稿では二部門内生成長モデルにより各種選択的課税が長期的な成長率に与える効果を分析する.Bond,Wang,and Yip(1996)およびMino(1996)の分析を踏襲する厳密な比較静学の結果,本稿で想定する税項目はいずれも長期の経済成長率を低下させること,また各税がもたらす効果の程度の相違は要素分配率と税率の関係によって決定されることが示される.これらの結果は,生産および税構造の点でより一般的な想定のもとで従来の分析結果が成立することを示すものである.さらに,数値分析により,現在の日本経済の構造のもとでは,労働所得税は長期的な成長率に大きな影響を与えるが,消費税および法人税(あるいは資本所得税)の影響はほとんどないことが示唆される.
- 2002-03-01