日本におけるスプレッドタイプ地すべりの事例
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概要
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スプレッドタイプの地すべりに関しては,日本ではこれまで兵庫県三田盆地の古第三系神戸層群における1例をのぞいて報告がなかった。しかし,房総半島では関東大地震のときに沖積地においてスプレッドタイプの変動が発生していたことが明らかになり,福島県更新世の塔のへつりカルデラ,新潟県中央部新第三系,長崎県第三系北松地すべり地域などにおいてもスプレッドタイプの地すべりの事例が多数見い出された。これらの地形的特徴を記載するとともに,地質的素因および運動像とくに運動速度について考察し,さらに防災上の問題点を検討した。地震時には地すべり災害防止の上で斜面に接した微少の傾斜を持つ沖積地が問題になる。また,第三系の地すべり地域では現状ではほぼ安定状態にある。しかし,スプレッドタイプ地すべり地形の中に集落が立地している場合が多く,誘因によっては再活動を引き起こし,災害となる可能性がある。
- 財団法人深田地質研究所の論文
- 2003-07-20
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