オリゲネスの『祈りについて』にみられる「愛」(αγαπη)理解 : 神への負債としての「愛」とその返済をめぐる論述に関する一考察
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概要
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自由論文オリゲネスは人間の主体的態度を重視する。しかし、彼の著作『祈りについて』においては愛を神への負債と位置付け、人間の主体性に拠らずむしろ強制的義務として理解し得る論述が見られる。その意味を、言語分析およびテキスト解釈によって考察した。その結果、そこには愛を強制的義務としてではなく人間の本来的態度とする彼の前提理解があり、それは、神と人間に関する関係理解に根拠づけられるものであることが明らかとなった。Origen regards human self-direction as important. However, he seems to understand that love is debt to God and it is based on not human self-direction but forced obligation. This paper discusses the meaning through analysis of the words and interpretation of the texts. As a result, it is proved that Origen basically understands love as based on not forced obligation but human essential attitude, and it is grounded in his recognition of the relationship between God and a human.
著者
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