前庭動眼反射と視運動性眼振の相互作用に関する臨床的研究 : 正常人および一側末梢前庭障害症例における検討
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概要
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目的:前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex: VOR)と視運動性眼振(optokineticnystagmus: OKN )の相互作用(Vestibulo-optokinetic interaction: VOI)について調べた報告は少なく、これを機能検査に応用した報告はない。今回、正常人と一側末梢前庭障害(unilateral peripheral vestibular disfunction: UPVD )症例を対象にVOIを検し、この検査による患側診断の可能性について検討した。対象・方法:対象は正常人16人(正常群)、UPVD 症例30人(前庭障害群)とした。前庭障害群は、温度性眼振検査で半規管麻痺(canal paresis: CP )30%以上で自発眼振およびVOR利得の左右差を認めない症例とした。被検者には振子様回転刺激によるVOR 刺激と回転している被検者にとって等速となるようにコンピュータで制御したOKN刺激を同時に与えた。記録は眼振計(electro-oculography: EOG )にて行い、コンピュータにより個々のOKN緩徐相速度を計測した。結果:OKN緩徐相速度は回転周期ごとに重ね書きし、最小二乗法により近似曲線を作成して計測した。近似曲線のピークの高い値を増強効果、低い値を減弱効果、ピーク間を変調速度と規定した。正常群では変調速度が回転角速度と二次回帰式に、回転角加速度と一次回帰式に近似できる関係が示された。前庭障害群では、VOR健側刺激の増強効果が患側刺激よりも有意(p<0.01 )に高く、健側刺激の減弱効果が患側刺激よりも低い傾向がみられた。OKN緩徐相速度の増大効果がより高い値をとる方向を健側として温度刺激検査と患側判定を比較したところ、80 〜90%と高い割合で一致した。結論:今回の検討から、VOI 検査によるOKN緩徐相速度の増大効果の判定により、末梢前庭障害の患側診断が可能となることが示唆された。
- 山形大学の論文
- 2004-02-16
著者
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