間伐よる林分直径分散の発生メカニズム
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概要
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民有林で使用されている林分収穫予想表は近代的な手法として林分密度管理の理論にもとづいて調製されている。しかし,それらの表中に記載されているha当り林木本数,平均胸高直径およびha当り断面積合計の値を用いて胸高直径の分散を算出して検討してみると,副林木の直径の分散がマイナスで与えられたり,あるいは全林木直径の分散よりも主林木直径の分散の方が大きな値になるという欠陥を持つことが明らかになった。現在この問題点の原因を充分に解明する段階にないが,一つの原因として,その林分密度管理理論が直径成長に対応する林木本数減少の関係,すなわち林木の占有面積の推移を考える場合に,全林木が同一直径のものと仮定され直径分布の発生を考慮にいれていないことが考えられる。そこでこの研究は正方植栽された林木間の競争が開始される状況を設定し,その時点から間伐が行われた場合に直径分散が発生してゆく過程をモデルによって解明した。これからの林分収穫予想表調製のためには,直径分布の観点に立った林分密度理論の開発が必要である。林分収穫表の項目の中に平均直径と共に直径分布の情報としての直径分散(あるいは標準偏差または変動係数)を陰ではなく陽に表示するべきである。
- 岐阜大学の論文
- 1993-12-25