模擬水生植物を有する開水路流れの抵抗特性に関する実験的研究
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概要
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最近,各地の農業用水路において,各種の水生植物や苔類等が繁茂しているのが見かけられるようになった。このため東海地方の木曽三川流域における,愛知県の木津用水と岐阜県の各務用水と菱野川用水において水生植物や苔類の繁茂の状態と水質を調査した。これらの用水においては,水質と水生植物や苔類との相関関係はほとんどないと考えられる。ここで,農業(水稲)用水の水質基準を満足するような良好な状態に水質を保ったとしても,水生植物や苔類等が繁茂することができる。したがって,いかなる開水路においてもこれらの繁茂によって流れの抵抗特性,たとえばManningの粗度係数が大きくなり,水流に大きな影響を与える可能性がある。農業用水の取水量の正確な把握や,年間を通しての水管理を厳密に行うためには,この種の問題の検討は不可欠であると考えられる。このため,実験水路の水路床に模擬水生植物を設置することによって,水煙学的にはManningの粗度係数の変化を明らかにしようとした。実験に使用した水路は長さ30.0m,水路幅1.0m,水路底コウ配1/440のコンクリート製の長方形断面水路である。そして,実験に使用した模擬水生植物は長さ15.0cm,直径0.257mmの合成樹脂繊維である。これを幅10.0cm,長さ90.0cmの鉄板の長辺に630本接着させて,水路床に9.0mにわたって敷き詰めた。合成樹脂繊維を接着させず鉄板だけを設置した場合のSmoothの実験と比較すると,Manningの粗度係数nの値は,密生度C=3.74×10^<-4>の場合には5倍から6倍大きくなり,C=1.87×10^<-4>の場合には3倍から5倍,C=0.94×10^<-4>の場合でも3倍から4倍大きくなり,模擬水生植物として合成樹脂繊維を接着させた鉄板を設置することによって,Manningの粗度係数nが相当大きくなることが明らかになった。
- 岐阜大学の論文
- 1988-12-25
著者
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