濃厚汚染土壌における各種作物の栽培による根こぶ病菌の減少(アブラナ科植物の根こぶ病に関する研究VII)
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概要
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1977年にハクサイの秋作で根こぶ病が激発した農家圃場を供試し,本研究は1978年から1982年までの5年間行った。1978年春,この圃場に高度罹病性のハクサイとかなり抵抗性のダイコンを栽培し,これらの発病率と発病指数によって間接的に2連判22区における根こぶ病菌の分布と密度を調べた。この圃場にこの年の秋作から1982年春作まで,ジャガイモ,エダマメ,ダイコン,ハクサイ,レタス,ホウレンソウおよびニンジンは春と秋の2回,またイタリアンライグラス,ネギおよびイチゴは年1回栽培した。毎年春に各区の土壌を鉢に入れ,高度罹病性ハクサイの発病によって生物的な土壌汚染の低下を明らかにすべく,間接的に土壌中の根こぶ病菌の密度を調べた。1.1978年から1982年まで,ハクサイの連作区では発病率と発病指数ともに高い値を示し,菌密度は著しく高かったが,他の作物を栽培した土壌中の本病菌はかなり減少した。ハクサイとダイコンの発病率をもとにしてみると,裸地とダイコンの両区の菌量の減少が最も著しく,ついでレタス,ニンジン,エダマメ,イタリアンライグラスの4区であった。他区もハクサイの連作区と比較すると明らかに菌量が著しく減少していた。ハクサイとダイコンの発病指数をもとにしてみると,裸地,ダイコン,エダマメ,レタスの4区は菌量の減少が著しく,ついでホウレンソウ,イタリアンライグラス,ニンジンの3区でかなり減少していた。2.濃厚汚染土壌でのハクサイとダイコンの連作において,ハクサイは連続的な根こぶ病の著しい発生であったが,ダイコンの連作では,最初の年はかなりの発生であったが,栽培回数の増すにつれて発生が急速に減少し,著しい菌量の減少をみた。本実験に供試の濃厚汚染土壌にダイコンを6回(3年間)栽培するとダイコンは無発病となり,菌量の著しい減少をもたらしたといえる。
- 1985-12-15
著者
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