金利スワップに係る会計処理方法の妥当性を巡って (澤 悦男教授退任記念号)
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概要
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今日のデリバティブの会計処理を巡る議論については,まず,国際的調和化および情報開示といったいわば必要性の観点から議論がなされていることが多く,この点理論的可能性の観点からの考察が重要となる。しかしながら,理論的可能性の観点においても,一方,第1次金融商品との経済的性質の相違を無視しただ単純に有価証券の議論の延長としてのみ捉えられているふしがあり,また他方,従来にはなかったまったく新しい経済事象としての側面にのみ着目して捉えられていることもあり,極めて混乱していると言わざるを得ない。このように,デリバティブの会計処理を巡る問題は,非常に混沌としているのが現状であるが,この原因のひとつは,仕訳レヴェル更には会計構造レヴェルでの比較検討の欠如という点にあるように思われる。すなわち,現行会計が複式簿記という測定機構に立脚しているいじょう,仕訳レヴェル更には会計構造レヴェルでの比較検討は非常に重要となるのであるが,それにも関わらず,デリバティブの会計処理を巡っては,このような視点からの考察が,これまであまり行われてこなかったように思われるのである。そこで本稿では,デリバティブのうち,特に金利スワップの会計処理に焦点を当て,以下のふたつの問題について考察を行う。まず,ひとつの問題は,金利スワップに係る「受取利息」と「スワップ損益」との関係に係る問題である。また,いまひとつの問題は,金利スワップに係る各会計処理方法のうち最も妥当なものはどれか,そして,その理論的根拠は何処にあるのか,という問題である。本稿では,これらふたつの問題について,仕訳更には会計構造というものを鍵として,検討を進めていくことにする。
- 慶應義塾大学の論文
- 2001-12-25
著者
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