小売構造における変化の分析と考察 : 小売業の大型化をめぐって
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概要
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本論文は,日本の小売構造の変化の分析を巡る研究の一環であり,ここでは,「流通革命」の名の下,林(1962)を中心になされた小売構造の未来図に関する予測命題の現実妥当性を吟味し,その変化の背後に存在する内部要因を考察するものである。本論文の流れは,大きく次の3つに整理される。第1に,林(1962)によってなされた予測命題を整理し,その予測命題を吟味する前提として,日本の小売構造の代表的な特性といわれてきた「零細性」「過多性」「低生産性」がいかなる変化を遂げてきているかを現実のデータを参照して検討していく。第2に,小売構造の大型化の問題は,換言すれば,小売業における市場集中の問題であるため,小売業における市場集中を考察する。そのために,まず代表的な既存研究をレビューし,それを踏まえ,日本の小売構造における市場集中を,上位企業集中度に加え,従業者規模別集中度から考える。第3に,この小売業における市場集中を中心に,林(1962)の予測命題の現実妥当性を吟味する。その結果,林(1962)において予測されていた「大規模小売店舗集中化現象」ではなく,現実には「中規模小売店舗集中化現象」が生じていることが判明した。この現象が生じる原因としては,集中度の規定因の1つである規模の経済が挙げられる。そこで,小売業においては規模の経済がどのように存在しているのかを,回帰分析を行うことで明らかにし,さらに,フォード効果の考え方を援用することによって,この規模の経済・不経済をもたらす原因を究明する。
- 慶應義塾大学の論文
- 2000-10-25
著者
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