企業の社会性に関する基本的な問題について : 社会的活動の内容分類の試み
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概要
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企業の社会性に関する議論は,現代企業の社会的な役割とは何かについて,明らかにしようとしてきた。しかしながら,その議論内容には一貫性が乏しく,用語の概念も多岐にわたっている。本稿の目的は,企業の社会性を議論するにあたって,企業が遂行する社会的活動の内容を分類することにある。まず,企業活動を事業活動と社会的活動に大別する。両者の区別にあたっては,事業活動と社会的活動が共に営利的な要素(営利性)と社会的な要素(社会性)を含んでいる点に注目し,営利性と社会性の相対的な重要度という視点を用いている。さらに,企業の社会性を議論するにあたっては,社会的活動に注目する必要があると指摘し,本稿の議論対象を社会的活動のみに限定することを明らかにする。この場合,社会的活動の具体例として,環境問題への対応と文化支援活動を想定することになる。続いて,企業の社会的責任論,社会貢献論の議論内容について概観し,企業の遂行する社会的活動の内容を,法的義務,社会的責任,社会貢献に大きく分類する。この分類には,社会において従うべき行動規範が存在しているのかどうかという視点と,企業の社会性と営利性が両立するのか対立するのかという視点とを,同時に用いる。結論として,以上の議論をまとめるマトリックス図を作成する。最後に,具体例として想定してきた環境問題への対応と文化支援活動の両活動が,現在の日本においてどのような内容分類に相当するのかを簡単に検討する。
- 慶應義塾大学の論文
- 1998-08-25
著者
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