会計基礎論における勘定科目の時空 : 『勘定科目の周期表』作成のためのプロレゴメナ (笠井昭治教授退任記念号)
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概要
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笠井昭次教授退任記念号会計言語のすべての文を類型化するといわれる,仕訳法則としての「取引要素の結合関係」からすると,例えば〈資産の増〉一く負債の増〉は,すべての〈資産〉要素とすべての〈負債〉要素にあてはまるはずである。ところが具体的仕訳をする段になると,この法則にあてはまらないものが出てくる。仮に,仕訳の文法構造が正しいとすると,〈資産〉・〈負債〉・〈資本〉・〈収益〉・〈費用〉という5つの概念設定自体に問題があるのではないかという疑問が生じてくる。そこで本稿では,「勘定科目」という言語記号に注目し,その記号の意味作用レベルに立ち返り,「勘定科目」の織り成す意味関係をイェルムスレウのく依存関係〉を援用するかたちで考察した。その考察において,会計言語の文法としての仕訳形式には,表現形式的側面と内容形式的側面があり,内容形式的側面に内容実質的側面(物的世界の現象) が混入している可能性があることを指摘した。この点から,仕訳法則に従った「勘定科目」問の意味関係には,「コトバ」の世界と《モノ》の世界が錯綜しながら混在し,その中で「因果関係」や「時問的継起性」が作用している面がある,とみることができる。その一方で,コトバとしての会計の認識世界を取り出す試みとして,貨幣金額『数字』に注目した考察を行った。その考察から,「勘定科目」には,仕訳形式の中の表現形式に拘束される面がある(『増・減』関係) ほかに,貨幣金額数字を表意するものとしての内容形式を構成する面があるとみた。会計は,「勘定科目」という記号による,貨幣金額という数字と数字の,間隔の置き方(距離) と,〈依存関係〉(方向性) によって成り立っている可能性がある。「勘定科目」間の〈依存関係〉の考察を深めることは,会計基礎論に貢献する『勘定科目の周期表』の作成に繋がることが期待される。
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