Li2O・nMoO3(n=1.00〜1.50)フラックスからのフォルステライトおよびエンスタタイトの結晶成長
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概要
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Mg₂SiO₄出発物質とLi₂O・nMoO₃ (n=1.00~1.50) フラックスから, 保持温度 1246~1330℃, 徐冷速度約5.5゜hで結晶成長を行った。n=1.00では, Li₂MgSiO₄とフォルステライト (Mg₂SiO₃) 結晶, n=1.05~1.10ではフォルステライトとエンスタタイト (MgSiO₃) 結晶が成長した。n=1.14~1.50では, クリストバライト (SiO₂) とLi₂Mg₂Mo₃O₁₂結晶が得られた。Li₂MgSiO₄結晶の形は無色透明の板状で, 大きさは約10mm, 厚さ1mm程度で, フォルステライト結晶では粒状で0.5~1.0mmの大きさであり, エンスタタイト結晶は, 断面が一辺0.6mmのほぼ正方形で, 長さ8mm程度の柱状であった。クリストバライトは, 低温相のα-相と高温相のβ-相の樹枝状結晶となった。nのわずかの変化にともなって, 成長した結晶種が急激に変化することと, 珪酸塩の溶解度が増すことは, ルイス酸一塩基反応によると考えられる。ここで, Li₂O・nMoO₃でn≦1の場合がルイス塩基で, n>1の場合がルイス酸と考える。溶融フラックス中のSi-O系陰イオンは, nの値に対応して, SiO〓⁻, SiO〓⁻, SiO〓⁻, イオンまたはSiO₂分子の状態で存在し, これらが冷却の過程で, 陽イオンと結合し, 成長結晶種が変化したものと考えられる。Single crystals of Li₂MgSiO₄ and forsterite (Mg₂SiO₄) with n=1.00, forsterite and enstatite (MgSiO₃) with n=1.05-1.10 and cristobalite (SiO₂) and Li₂Mg₂Mo₃O₁₂ with n=1.14-1.50 were grown from Mg₂SiO₄ flux at the soaking temperature of 1246-1330℃ by slow cooling of about 5.5゜h, using Mg₂SiO₄, as a starting material. Li₂MSiO₄ across 10mm and 1mm in thickness, and granular forsterite of 0.5‐1mm by size and enstatite of prismatic shape with 8mm long and 0.6mm in diamete rwere obtained. Also, α‐ and β-cristobalite formed thin plate which are consisted of small dendritic crystals, respectively. It is inferred from Lewis acid‐base reaction that crystal species changed seriously by small difference of n in Li₂O・nMoO₃flux resulting in high solubility of silicate. Various minerals may be formed by combination of Si-O anion groups, which are SiO〓⁻, SiO〓⁻, Si₂O〓⁻ ions or SiO₂molecule configured according to n, with cations on a period of slow cooling.
- 大阪教育大学の論文
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