小中学校教員における「子ども理解規範」の実態と課題
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概要
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本研究では,質問紙調査に基づいて小・中学校教員の子ども理解意識の現状を描き出し,そこから学枚が直面している課題と,その克服の方策について検討した。その結果,子どもの様々な行動については,「子どもの特性」「人間関係形成能力」「学校枠組みからの逸脱」という3つの因子が抽出された。このうち,「子どもの特性」と「人間関係形成能力」についての理解は,教職経験年数と職位によって理解していると思う程度が異なり,「学校枠組みからの逸脱」についての理解は,校種のみが理解意識に影響していることが明らかになった。特に,経験年数21~25年目の教師層は,「子ども理解」の意味内容についで悩み,葛藤していることがうかがわれ,教職役割認識の転機にあることが示唆された。また,子ども理解意識の高い教師は,学枚での教育活動に積極的であり,全体方針に対して柔軟な判断をする傾向にあるのに対して,非理解意識の高い教師は,あまり積極的に関与せず,しかし全体方針への関心は高い傾向にあることが明らかになった。ここには,「子ども理解」の望ましさを行為の基準として使用しながら相互作用している学校の実態があると考えられる。In this study, I investigated the actual conditions of norms about understanding children. The results were as follows; 1) In behavior of children, three factors were found through "factor analysis" I named three of them "children's charasteristics", "communication abilities", and "breaking away from students roles". 2) The sense of understanding "children's characteristics" and "communication abilities" relates with teachers' careers and positions. And the sense of understanding "breaking away from students roles" relates with only whether to be teachers at junior high schools or not. 3) Especially, it seems that the teachers who have careers for 21-25 years hesitated about assertion that they could understand children. 4) The teachers who got high understanding points in this study tend to be positive and flexible. The other hand, teachers who got low points tend to be negative and conventional. These results suggest that teachers consider norms about understanding children to be good and valuable for them. And they use the norms to perform interactions.
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