ドイツの家族政策の特徴とその受容
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概要
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ドイツの家族政策努力にEUの中でもフランスに次いで高い水準にあるが,その出生力は極めて低く,政策努力が弱い割りに出生力水準が高いイギリス,アメリカなどとの相違が注目されている。また内容においても児童手当や税控除など「家族負担の調整」に重点を置き,有子家庭の経済支援をめざしている点で,保育機会が充実する北欧諸国との違いが指摘されている。<BR>本稿ではドイツの家族政策の特徴を分析するとともに,1991―92年に実施されたPPA(Population Policy Acceptance)とFFS(Family and Fertility Survey)の意識調査の結果を踏まえ,人々の政策に対する期待や評価,その問題点を考察した。<BR>主な知見は次のとおりである。<BR>(1)ドイツの家族政策の特徴は,手厚い経済支援と,長く保障された育児休暇制度・パートタイム雇用を中心とした「家族と職業の両立」,ヨーロッパの中でも比較的遅れた保育制度にある。<BR>(2)意識調査結果から,これらの特徴と人々の意識の間には高い整合性があることが確認できた。その一方,「子育てにともなう,すべての(相対的)不利益」をなくすという政策理念とその実現可能性のギャップから,人々の政策効果に対する評価は厳しく,仮に家族政策に出生促進的意図があったとしても,その効果は殆ど期待しえないことが判明した。
- 2001-06-30
著者
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