<年報>『こんちりさんのりやく』の成立背景と意義 : キリシタンの精神的支柱としての特異性
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概要
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16・7世紀の日本キリシタン史の中で『こんちりさんのりやく』と題されたカトリック教会の「ゆるしの秘跡」のマニュアルが存在した。「ゆるし」は三つの行為(痛悔contritio,告白confessio,償いsatisfactioと司祭のゆるしの宣言absoltio)から成るが,『こんちりさんのりやく』では,司祭がいない場合,第一の「痛悔」を完全に果たせば,大罪の場合でさえ司祭への告白が省略できることが説明された。これはルターの批判をうけて秘跡全般を見直したトリエント公会議直後の雰囲気のなか(司祭への告白の義務を強調した)きわめてユニークな主張とみえた。「完全な痛悔」さえおこなえばよいとの考え方は,17世紀以後の迫害下,司祭の存在しない日本のキリシタンたちにとっては救いとなった。これは日本的例外なのか。1590年代の日本イエズス会宣教師たちは,この適用に悩みつづけたようであり,その解決後,印刷し配布した。それは,禁教後,200年以上,隠れキリシタンたちにとってもこの上ない精神的支柱となって信仰を支えつづけたと考えられる。
- 2001-12-25
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