<論文>留守番電話の談話構造の分析
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概要
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本研究では(1)約束をしたが行けなくなった状況,(2)誘いの状況において日本語母語話者が行う留守番電話の録音メッセージの談話構造を調べる。データの収集はACTFLのOPI形式によるロールプレイによって行い,(1)では行けなくなった理由とともに謝罪表現,代案の提示,および再度の連絡表現の有無,メッセージの始め方と終わり方を,(2)では,誘い表現,再度の連絡表現の有無,メッセージの始め方と終わり方を調べ,さらにそれが年代や性別によって差が見られるかどうかについて考察した。その結果(1)では謝罪表現に年代と性別による特徴がみられること,電話をかけなおす意向を述べる人が少ないことがわかった。(2)では年代,性別にかかわらず,誘い表現の中で「・・(たい)と思う」という表現の使用が多いこと,「再度の連絡表現」については,13人中8人が相手からの連絡を待つという伝言を残しており,自分から再度電話すると言っている人は4人に過ぎないことがわかった。これは語用論上の丁寧さの観点から言えば,誘った側が誘われた側に断わる余地を残し,押し付けがましくならない配慮をしているためと考えられる。メッセージの終りの締めくくり方については(1)では「さようなら」の使用が約半数であるのに対して,(2)の誘いの留守番電話では,「さようなら」と言っているのは13人中3人であり,メッセージの内容や言語機能によって,終り方が異なることが示唆された。
- 1999-03-31
著者
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根津 真知子
国際基督教大学語学科
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村野 良子
国際基督教大学
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村野 良子
国際基督教大学日本語教育研究センター
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根津 真知子/村野
国際基督教大学日本語教育研究センター/国際基督教大学日本語教育研究センター
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