<原著論文>大学生の自己認知 : 「個としての自己」と「関係の中にある自己」の観点から
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概要
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我々は一個の個人として存在すると同時に,他者との関係の中で生きている.この二つの存在の仕方についての論議は,心理学においては二つの領域でなされている.性役割の研究においてはその二つの存在様式は「作動性」「共同性」,道徳性研究においては「分離性」「関係性」と概念化されている.「分離性」「関係性」は,コールバーグの「公正さの道徳」とギリガンの「配慮と責任の道徳」と対応した自己の態度であり,ギリガンはそれらは性と関連すると考えている.本論文では性役割における「作動性」「共同性」と道徳性における「分離性」「関係性」の関係,及びそれら4つの自己の態度における性差を検討する.4つの自己の態度に関する質問紙調査を348名の大学生(男性196名,女性152名)に行った.結果は以下の通り.1)「作動性」「共同性」「関係性」は予測された方向に性差が見られたが,「分離性」に関しては性差はなかった.2)共に一個の個としての態度と考えられた「作動性」と「分離性」の相関は,「作動性」と「共同性」及び「分離性」と「共同性」の相関より低かった.3)「分離性」と「共同性」あるいは「関係性」との関係は性によって違いがあった.以上のことから,ギリガンの仮説に反して「分離性」は男性に優位な態度というわけではないこと,性役割と道徳性の項目をまとめると,「個としての自己」「関係の中にある自己」の二つの存在様式は,明確で共通の因子にはならないことが示された.一方「分離性」と「関係性」の位置づけに関しては性差があることが示された.
- 1991-03-25
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