<原著>インフォームド・コンセントに関する学生の意識 : 着護学生と医学生の比較
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概要
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科学技術の発展とともに医療における倫理教育の必要性が増してきている.専門的な医療活動の基礎となる職業意識や視点の形成は重要だが, 倫理教育の取り組みの報告はまだ少ない.そこで, 看護学生と医学生のクラスで倫理的問題状況を含む事例検討を行い, 意識の違いについて検討した.事例は病状を知らされていない悪性腫瘍患者への病状説明で, 「インフォームド・コンセント」, 「医師一看護者の共同」の2つのテーマを含んだ事例を用いた.事例の問題状況と関連した受け持ち看護婦の心理状態の考察では, 問題状況の捉え方として, 看護学生は「患者の状況・背景の理解」, 医学生は「看護職の責任・自負」の回答が最も多く, 医学生では「医師とのコミュニケーション不足」の回答がみられた.病状を知らされていない患者から質問を受けて悩んでいる看護婦の対応では, 看護者の介入を肯定する回答が両学部学生ともに半数以上であり, その理由として「医療チームとしての連携が大切」と回答していたが, 医学生では「問題状況において, 医師一患者一家族間への看護者の調整・介入が望ましい」と回答したのに対して, 看護学生では「患者が医師へ聞く前に看護婦が相談役や代弁役になる」が相当数みられた.同じ事例の問題状況に対する共通点もあるが異なった視点と役割をふまえた回答からは, それぞれの専門職業意識が各学部の教育に反映され形成されてきていることが窺えた.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 2000-12-25
著者
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