ヨーロッパ審議会と文化政策(1)
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概要
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統一通貨ユーロの流通によってヨーロッパの統合は一段と進展を見た。しかし通貨同盟参加国は12カ国, ヨーロッパ連合は15カ国(2004年には25カ国になる)にとどまるが, それにたいしてヨーロッパ審議会は44カ国, その許にあるヨーロッパ文化協定は, 加盟国47カ国を数える。ヨーロッパ統合の理念が, 戦争の荒廃や人種差別, 民族紛争を廃して基本的人権と自由が真の意味で保証されるような民主的な世界の創出にあるならば, 欧州統合は単に通貨統合のような金融財政, 経済統合のレベルにとどまるものではないであろう。 1989年中東諸国を統合することによってヨーロッパは大きく変わった。 EUが15カ国の小ヨーロッパであるならば, 欧州審議会文化協定加盟国47カ国の大ヨーロッパがいかに重要な意味をもつか言うをまたない。今後のヨーロッパの行方を見定めるには, この文化協定のもとでの諸活動を把握することが是非とも必要である。本論の副題を「ヨーロッパ審議会の諸活動に見る欧州統合と文化政策の諸問題」とする理由である。ヨーロッパ審読会の活動範囲は実に多岐多様で広範囲にわたる。しかしその調査報告はほとんどまだ我が国ではなされていない。「ヨーロッパ審議会」の組織構成政策一般についても知られていない。 したがって, まず「ヨーロッパ審議会」(Council of Europe, Conseil de l'Europe)についてその成立から今日までの歴史ならびに同審議会の機能役割の概略を記述することをもって序論とするとともに, 先だってヨーロッパ審議会文化協定前文を討論として訳出しておく。
- 2003-03-15