人文科学的視点からの環境論(2) : 桑子敏雄『環境の哲学』に寄せて
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概要
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本論文は, 『環境の哲学』に代表される桑子敏雄の最近の論考を, 現代の人文科学的な環境論の一典型として読み解く試みである。桑子の基本的な視点は, 主として中国や日本の伝統思想という知的遺産を手がかりとして環境をめぐる諸問題を考察しようとするもので, その考察の基底には, 西洋哲学においては軽視されてきた身体性や空間性に主眼を置いて人間存在の成り立ちを捉え直す哲学的な人間存在論が据えられている。そのため, 現代のアクチュアルな環境問題を論じる桑子の所論は, 環境問題を論じる際に前提とされる既存の諸概念の批判を自ずから含む形で展開されている。哲学の社会的機能の一つとして, 既存の諸概念の批判的吟味と当該問題に関する新たなアイディアの提示が挙げられるが, 環境問題に関わる桑子の論考は, 哲学のこうした社会的機能を示す一つの範例になりえていると言ってよい。本論文は, 以上のような点を中心に, 人間存在の基礎的諸条件を踏まえた桑子の哲学的な環境論の基本的な構えを浮かび上がらせようとするものである。
- 川村学園女子大学の論文
- 2002-03-15
川村学園女子大学 | 論文
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