「人類は皆兄弟」またそれに類する神話について : 文化的撤退とその精神構造の考察
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概要
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1994年8月に,札幌国際交流プラザ主催による第三回日米露学生集中講座が,「相互依存,平和維持」に関するグローバルな視野を育成し,講義,演習,討論,見学を通して学生に学習する場を与えることを目的として開催された。本論は,その集中講座の中で筆者が担当した2回の講義に基づき,若者の中で無意識の内に形成される精神構造を指摘し,それがもたらす様々な弊害を考察する。その精神構造とは,達成するのが不可能な課題を出すという誤謬(Failure Programming)によって生み出されるものであり,変革を成し遂げる冒険を犯そうとしなくなる無意識の精神構造を形成する。それは,社会の隅々にまで浸透し,潜在的に普遍化されている。この精神構造は,筆者が「文化的撤退」(Cultural Fallback)と呼ぶものに顕著に現れ,それは,戦時下において,想定された作戦行動が現実に起こっている戦況に適していないため,撤退という作戦行動を望んで選択するという状況(Fallback)に類似している。本論では,文化的撤退の典型的な例として,「人類は皆兄弟である」であるという認識のみを与えられ,現実にそぐわなくともそれ以上の詮索は無用という精神構造を指摘し,さらに,学生のレポートにみられる様々な文化的撤退の例を示す。その好例としては,曖昧さを使ったごまかし,定型に合わないといった言い訳,楽観論のみの批評,専門用語の無意味な羅列,その場しのぎの時間つぶしと責任転嫁などが挙げられる。
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