論理原則と数学的認識(I) : ピュタゴラス学派とエレア学派
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概要
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数学の発展形態を認識論の立場からみる場合, これと論理学との関連性が問題となる。古代ギリシアにおける理論的数学の自立時期に関しては, 文献の不足にもかかわらず, サボー等によって研究が進められてきた。19世紀以降の, 数学の基礎に関わる活動の過程で生じた「直観主義」の主張は, 論理学に大きな変更を要求するものである。このこととも関連するが, 数学と論理学の相互関係を, 歴史的研究の上に立って, 認識論的に研究することが, 今日, 重要な課題となっている。小論は, 内容ごとに数次に分けられるが, 今回は古代ギリシアにおけるピュタゴラス学派の数学活動とエレア学派の論理形成に焦点を合わせた。結果の主なものは次の通りである。(1)ピュタゴラス学派は, 定説とは異なり, 既に抽象的思考によって数学を自由な学問に変えていた。特に, 「点」, 「線」等の幾何学的概念を「数」との対応によって理解しようとした。更にその結果を「数学的命題」で表現したが, ここで「定義」による概念の精確化, および論証を導入した。「不可通約量」はこの過程で発見されたが, これは常に「無限可分性」の困難と結びついている。(2)エレア学派の活動は以上の歴史的背景の下で行われた。ピュタゴラス学派による数学的命題は, 抽象的無時間的な存在の可能性を提起したが, パルメニデスはこれを背景に, 論理原則を形成することができた。それは, まず「存在の原則」として主張され, これが同時に「思考の原則」でもあるという認識論として展開された。この場合, ピュタゴラス学派が提起した「無限可分性」の問題が大きく影響していると考えられる。この後, アリストテレスによって論理原則の定式化が行われるが, これは勿論, パルメニデスの延長上のことに他ならない。
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