精神病症状の背景ないし基底としての受動的認知態勢 : 知覚変容発作における知覚変容の特性の検討から
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概要
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知覚変容発作(山口)は,精神分裂病において知覚変容を主体として発作性に消長する症候群である。知覚変容発作の出現様式については既に詳細な記載がなされているが,そこにみられる知覚変容の内容と特性について正面から検討されたことはこれまでになかった。本稿では,精神分裂病にみられる知覚変容発作における知覚変容体験の自験例36例を検討し,その特性として1.知覚強度の増大,2.知覚強度の非減衰性,3.知覚の対象化困難,4.自己対外界の関係の障害からなる「受容的認知態勢」を抽出した。受動的認知態勢は非発作性にも出現することが観察された。さらに,受動的認知態勢は,妄想知覚の前段階の形成に寄与していることを示した。知覚変容発作をはじめとする超短期現象は,精神分裂病の長期経過あるいは全体的な症状構造に大きな意味を有していると考えられる。
- 神戸大学の論文
著者
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岩井 圭司
兵庫教育大学 教育臨床
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岩井 圭司
神戸大学医学部精神神経科:兵庫県立精神保健福祉センター
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岩井 圭司
兵庫県精神保健協会こころのケアセンター
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岩井 圭司
神戸大学病院精神科
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岩井 圭司
兵庫教育大学 大学院臨床・健康教育学系
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