TENSES IN "RELATIVE CLAUSES" Japanese versus English
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概要
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日本語のテンスアスペクトの研究は始まってから約80年の歴史を持つ。日本語にテンスはないという立場をとる学者もあるが, 英語のそれに比べて体系的でないという意味である。日本語においては過去時刻は, 過去時と完了相のいずれかを実現するのに対し, 現在時刻は, 非過去時(つまり現在時, あるいは未来時)と未完了相のどちらかを実現する。日本語におけるテンスは, このように潜在的にあいまいであり, 場合により時指示の機能とアスペクト的機能とのいずれかを実現する。これが日本語に特有なものであるとするのが, 言語学者, 中右実の見解である。この立場から考えると, この日本語と英語におけるテンスとアスペクトのあり方が, 従属節における日英語の比較の基本となる。この小論では, 従属節, 特に形容詞節のテンスとアスペクトと主節の動詞との関係を日英語で検討する。英語と日本語の形容詞節, すなわち連体修飾節を比較すると, 一番大きな相違は, 英語では連体修飾節は関係詞節に限られるが, 日本語ではそうではなく, 連体修飾節には英語にすると全く別の構造をとるものがいくつもあるということである。日本語を母国語とする学生が英語関係詞節を学習する際の困難の一つはここにある。又, 英語には日本語にない時制の一致の法則があり, 主節の動詞が過去形のとき, 従属節の動詞は影響を受ける。日本語では時制の一致の制限はないが, 主節, 関係詞節それぞれの動詞が, 動作動詞か状態動詞かによって, その文のテンスアスペクトをきめる上での力関係が違ってくる。動作動詞は関係詞節の中でも, 主節の中でも, "時"を決める上で一番有力である。主節, 従属節共に動作動詞をとった場合には, 主節のテンスに対して, 従属節のテンスアスペクトは絶対的ではなく, 相対的に決ってくると言える。
- 1990-03-31
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