登校拒否学級の現状と課題 : 全国のアンケート調査から
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概要
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近年,登校拒否児への教育的対応の一つに情緒障害学級の設置があり,その数が増加してきている。本研究は登校拒否を対象とした情緒障害学級(以下,登校拒否学級とする)の現段階における指導の実情と課題を明らかにしておくことが重要と考え,実態調査を行なったものである。調査項目は15項目,対象は全国の義務教育の登校拒否学級51校,回収率は35校(69%)であった。主な調査結果は,(1)登校拒否学級は,校舎内併設で通級制が多い。(2)学級と各関係機関・家庭・普通学級との相互連携や共通理解を図ることを重視している。(3)学級の指導目標は,対人関係の改善,情緒の安定・自我の形成に重点を置いている。指導内容は児童生徒の状態に応じた取り組みを重視し,小学生は基本的生活習慣や遊びの要素を含んだ指導,中学生は生活リズムの立て直しや経験の拡大・精神保健上の指導に重点を当てている。(4)進路では,定時制高校への進学が多く,進路指導の抱える問題は登校拒否の特性から困難なものがある。以上から,登校拒否の教育は指導形態として,訪問や個別対応による臨床的アプローチから,小集団さらには健常児集団の中での指導まで幅広く考えられる。指導内容としても生活習慣の形成・遊び・教科指導・カウンセリング,さらに進路指導まで含み,かかわる対象としては家族・普通学級担任・校外の各種関係機関を抱え,これらが総合して初めて進められる教育であるということが分かる。子供達のために,今後この教育がより深まり発展していくことを切望する。
- 北海道教育大学の論文
- 1990-03-12
著者
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