旭川市における早期療育システムの課題
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概要
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近年,わが国で心身障害児の早期発見・早期療育の意義と効果が広く認識され,地域療育の試みが各地でなされてきている。そこで旭川市において障害をもった乳幼児がどのように発見され,どのような相談,療育の援助を受けているのか,その実状と課題を明らかにすることを目的に,昭和62年1月から22回に亘って行なわれた「旭川早期療育システム連絡会議」の資料と,各機関および障害児の母親9名にたいする面接調査を行ない,その資料を(1)発見,(2)相談, (3)療育,教育,保育,(4)連携という観点から検討した。旭川市は道北の中心都市であり公共施設が集中し,比較的療育資源に恵まれているが,各機関の連携や療育の内容について未だ充分とはいえない状況にある。今回の調査の結果から,健診の充実,相談機能の拡充,より質の高い療育,各機関の連携等がこの地域の早急に解決されるべき早期療育の課題として明らかになった。早期療育の主要な目的のひとつに,親が子どもの障害を受容し,たのしみながら子育てができるように,家族(特に母親)の心を援助することがある。上記の課題に加えて,早期療育においては障害児の援助だけではなく,その家族への援助も重要な意味をもっている。
- 1991-03-25