太陽熱を利用した水耕液の冷却について-制御温度の違いによる冷却特性-

概要

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太陽熱集熱による熱媒および補助熱源による熱媒を用いて, 夏期におけるロータリープランター水耕液の制御温度を22℃, 24℃, 26℃の3段階の3区に設定して冷却試験を行った。太陽熱の集熱および利用状況, 温水焚吸収式冷凍機の稼働および熱消費, 水耕培養液の冷却熱量, 温室内での水耕培養液の昇温熱量等の特性を各制御温度毎に調査検討を加えた。その結果次のことが明らかとなった。1. 太陽熱の集熱の行われる時刻は, 日射量が0.3cal/(cm)^2・min以上となる8時以降15時迄の約7時間である。日射量が0.4∿0.6cal/<cm>^2・minと比較的少ない10時迄および13時以降の時間帯は, 集熱量少なく集熱効率も低い。0.7∿0.8cal/(cm)^2・minと日射量の多い11時から13時迄の時間帯では全体の72%以上の集熱があり, 集熱効率は約50%以上と高い。2. 蓄熱槽の放熱による熱媒温度の低下は, 1時間当たり約0.1℃で1日約2.4℃の温度降下が認められ, 約24,000Kcal/dayの熱損失となる。この損失量は集熱量の約14%に相当する。3. 冷却区液温は水耕培養液貯溜タンク内では制御温度に対応した液温となる。しかし, 栽培ベットでは室温の影響を受け, 日中の高温時には22℃区約5℃, 24℃区約3℃, 26℃区約2℃貯溜タンク内の液温より高い。制御温度が低くなるに伴い両者の温度差は大きくなる。夜間には室温降下の影響で温度差は縮小する。4. 冷却稼働時間は制御温度が低くなるに伴い稼働時間は長くなる。22℃区733min/day, 24℃区441min/day, 26℃区274min/dayとなり, 22℃区は26℃区の約2.6倍の稼働時間となる。5. 総稼働時間に対する太陽熱による稼働時間の比率は22℃区約23%, 24℃区約40%, 26℃区約64%で, 制御温度の低下に伴い補助熱源の割合が増大する。また, 消費熱量に対する太陽熱の依存率は, 制御温度の低下に伴い少なくなる。集熱した太陽熱はその日の日中に殆ど消費し, 集熱量に対する利用割合は50∿60%で, 制御温度が低い程利用割合が高い。6. 熱媒消費熱量は制御温度を2℃低く下げると約1.5倍となり, 指数関数的に増加する傾向がある。7. 水耕培養液の昇温熱量は液温と室温との差が大きい低温制御区程大で, 22℃区は24℃区の1.4倍26℃区の1.7倍である。また, 本システムにおける昇温熱量に対する熱媒熱量は3.4∿2.6倍で制御温度が低い程消費量が多い。
1995-01-30

太陽熱を利用した水耕液の冷却について-制御温度の違いによる冷却特性-

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