三次元咬合力に基づく咬筋の機能的分化に関する研究
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概要
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ヒト咬筋の機能的分化とその機序を明らかにする目的で, 顎口腔系に機能異常を認めない正常有歯顎者3名に三次元咬合力測定装置を応用し, クレンチング時の咬合力の大きさと方向を種々に変化させながら, 右側咬筋運動単位の活動を導出し, 以下の知見を得た。1)各々の運動単位は, 活動を示す固有の咬合力方向の範囲を有した。前, 左方の咬合力方向で発火する運動単位が多く, 後, 右方で発火する運動単位は少なかった。2)咬合力方向を9分割し, それぞれの方向で運動単位の発火の有無を調べ, 発火を示す方向の数を活動領域と定義したところ, 活動領域と運動単位の発火閾値の間には, 負の相関が認められた。3)運動単位の活動領域は, 記録部位により異なり, 前部および深部より記録した運動単位で広く, 浅部の運動単位で狭い傾向が認められた。この活動領域の相異は, 前後的記録部位間と比較して, 深さの異なる記録部位間で著明に観察された。以上の結果は, 個々の運動単位の収縮力の関与が運動単位の存在部位や筋線維走行によって異なることに起因するものと思われた。また, このことは咬筋内部の機能的分化を示唆するものと推察された。さらに, 咬筋内部の機能的分化が前後的部位に比較し, 深部と浅部の間に著明に認められたことは, 咬筋の層状構造を反映するものと考察された。
- 東北大学の論文
- 1991-06-29
著者
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