相互転座分析法による稲の連鎖分析(農学科)
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概要
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長尾・高橋の連鎖群に細胞学的基礎を与えるために, 相互転座系統を用いて遺伝子と転座点との連鎖関係を調べた。その結果を摘録すると以下の如くである。1)第I連鎖群 : 本連鎖群には新たに第VII連鎖群のfs及びUrが加わり, 第6染色体と関連のあった遺伝子と転座点の配列順列はwx-RT6-11-C-RT6-10-fs-(RT6-8)-Cl-RT5-6-RT6-7-RT3-6-Urとなった。2)第II連鎖群 : 第11染色体と対応関係にあり, 遺伝子と転座点とはRT3-11b-d_2-RT3-11a-Pl-lg-RT6-11-RT1-11なる配列となった。3)第III連鎖群 : A, Rd及びPnの他に新たに第IX連鎖群のriがそれぞれ第3染色体に座乗し, それらは(RT3-11b)-RT1-3b-RT3-12-A-Rd-RT3-11c-RT1-3a-RT3-4b-RT3-6-Pn-riなる配列であった。4)第IV連鎖群 : 第10染色体に相当し, 遺伝子と転座点とは(RT10-11)-RT6-10-d_6-g-RT9-10a-RT8-10-Rc-RT1-10なる座位関係にあった。5)第V連鎖群 : 本連鎖群の遺伝子であるI-Bfは第1,第3,第4,第6,第8及び第12染色体の内, いずれか1本に対応していた。特に第8あるいは第12染色体の遺伝子である可能性が高かった。6)第VI連鎖群 : 第2染色体に対応し, RT1-2-RT2-3-gw-d_1-gh-RT2-5なる転座点と遺伝子との位置関係が推定された。7)第VII連鎖群 : Dnは第1染色体に座乗していた。上述の如く, fs及びUrが第I連鎖群に移行し, その代りに第IX連鎖群のnlが本染色体上にあった。Dn及びnlと転座点との配列は, Dn-RT1-11-RT1-2-RT1-3b-RT1-10-RT1-3a-nlと推定される。8)第VIII連鎖群 : laは第9染色体にあることが認められた。9)第IX連鎖群 : 前述の如く, 本群の遺伝子riは第III連鎖群に, またnlは第VII連鎖群にそれぞれ移すべきものと推定された。10)第X連鎖群 : bl_1は第8染色体にあった。11)第XI連鎖群 : bcは第5染色体に座乗していたが, d_8は第11染色体(第II連鎖群)の遺伝子となった。12)第XII連鎖群 : Hg及びglを用いてそれぞれ6及び17種の転座点との関係を調査したが, 未だ明らかな連鎖関係は認められなかった。13)なお転座点を介した場合, 2遺伝子間の組換価は正常な染色体構成における両遺伝子間の組換価より減少することが認められた。
- 1976-12-01
著者
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