<研究報告>最適制御装置に関する研究
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概要
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これはL. S. Pontryaginの最大原理から導かれる最適制御を実時間で発生させ利用する最適フィードバック制御装置の実用化研究である.まず最大原理による最適制御を高速に発生させるアルゴリズムを設定し,この手順を分析して,このアルゴリズムを内部処理プロセスとして機械化する制御装置には,その中央決定機構としてD.D.A.を高速演算部にもつディジタル・ハイブリド・システムが実用技術上最好適であることを論じる.これと同一形式の計算システムをシミュレータとして手持の資材をつかって組織し,これで最適制御発生のプロセスをシミュレートして,高速高精度の制御信号をつくりだすアルゴリズムを確立した.これは繰り返し計算法であり,収れんの状況が演算精度にあまり依存しないことが判明した.二次および三次の系,エネルギーに制限のある系,およびロケット運動についてのシュミレーションの結果を図で示す.実際の制御系の構成では,フィードバック構造をもたせて,現実の状況が反映するように刻々最適制御過程を計算し直すことになるが,収れん状況が演算精度にあまり依存しないところから,この再計算における演算の相対精度が制御の進行に際して,一定となるように演算を制御して収れん速度を高めることによりフィードバックの効果を向上する.これによる実用的な制御はサブ・オプティマルな制御となる.なお,シミュレータにはオン・ラインの機能か強化されていて,制御モデルと人との交渉を容易にして研究機能を高めている.
- 宇宙航空研究開発機構の論文