脂肪酸汚れの洗浄に関する研究
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概要
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皮脂汚れ中に, 約30%含まれる遊離脂肪酸は, アルカリ性洗剤水溶液で洗浄されるとき, 脂肪酸石けんを生成するために, 比較的容易に除去されることが知られている。しかし脂肪酸混合物においては, 個々の脂肪酸の性質によって, 洗浄性に差が生じることが考えられる。 本研究は, 皮脂汚れの遊離脂肪酸のなかで最も多量に含まれているパルミチン酸単一系とそれに一定量のラウリン酸, ミリスチン酸, ステアリン酸, およびオレイン酸のそれぞれを混合した二成分混合脂肪酸について, パルミテン酸の洗浄性に及ぼす混合脂肪酸の種類, 各脂肪酸の混合量の影響について検討した。 洗浄温度45℃において, パルミチン酸は単一系よりも二成分混合系からのぽうが除去され易く, 二成分混合系からのパルミチン酸の洗浄性は, 他の脂肪酸の混合量が少ない場合には, ステアリン酸, ミリステン酸との混合物は, ラウリン酸, オレイン酸との混合物よりも除去が容易であり, 等量混合物では, オレイン酸, ラウリン酸混合物が, ミリスチン酸, ステアリン酸混合物よりも除去され易かった。また. SDSの低濃度における二成分混合系からのパルミチン酸の洗浄率は, ミリスチン酸=ステアリン酸>ラウリン酸>オレイン酸混合物の順に低下した。 洗浄温度20℃における二成分混合系からのパルミチン酸の洗浄率は, オレイン酸>ラウリン酸>ミリスチン酸>ステアリン酸混合物の順に低下した。 これらの結果は, 洗浄温度における二成分混合物の状態, すなわち, 融点と関係している。 パルミチン酸に他の脂肪酸を混合すると, 融点は9.0〜6.0℃低下し SDS水溶液中ではさらに, パルミチン酸単一の融点より24.5〜16.0℃低下した。
- 園田学園女子大学の論文
- 1981-12-30