東アフリカ・タンザニア北部における農業的土地の生態学的考察
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概要
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1. タンザニア北部の Endamagha と Godofani 間と, Godofani と Mto wa mbu 間で, 地形, 土壌, 侵食, と土地利用との関係を明らかにするため, 1988年8月に調査をおこなった。2. 大地溝帯にはさまれた Godofani, Mto wa mbu 間の標高と距離を測定し, 地形プロファイルを作成した。その結果, この区間の土地はその中央部に向かうに従い, 急斜面と比較的緩斜面 (台地面) とが交互に出現しながら標高が上がることがわかった。台地面は第5面まで数えられた。3. 土壌はその色に着目し, 赤褐色, 褐色, 灰褐色, 黒色の土壌が観察された。赤褐色の土壌は標高1,420m以上の急斜面上と丘陵頂部及び1,450m以上の谷部で, 褐色の土壌は1,290-1,480mの台地面上と1,450m以下の谷部で, 灰褐色の土壌は1,060-1,190mの比較的平坦面上で, 黒色の土壌は1,060mの Endamagha の湿地帯のみで観察された。4. 侵食はガリー侵食と布状侵食の発達するところを中心に調査をおこなった。ガリーは標高1,300-1,550mの台地面の肩の部分に多い。1,160mの地点では布状侵食が特に強く作用していた。両者とも赤褐色, 褐色の土壌のところで発達する場合が多かった。5. 土地利用形態では, 小規模畑作, 大規模畑作, 湿地農業, 炭焼が観察された。小規模畑作は, 標高1,180mの比較的緩斜面の褐色の土壌上で行われていた。大規模畑作は, 標高1,300m以上の, 褐色もしくは赤褐色の土壌が優占する台地面上で観察された。湿地農業は, 標高が1,060mの Eyasi 湖の湖岸背後に形成された湿地帯でのみ行われ, そこの土壌は黒色であった。炭焼は, 標高1,160mの台地面上で観察された。6. 調査地内の土地を, 主として降水量から灌概農業区と非灌概農業区とに分けることができる。その境は, 標高約1,400mと考えた。7. 現在, コムギやトウモロコシが栽培されている非灌概農業区 (特に大規模畑作) では, 土地の侵食対策として数種の方策が試みられているが, それにもかかわらず侵食が進行している。これは現在の農業的な土地利用がこの土地に適していないためと思われる。
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