和辻哲郎の人間学的考察〜「個と関係の否定モデル」を手がかりにして〜
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概要
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これまでのメディア論的考察は、近代的主体の存在を前提とし、その間の情報やメッセージの流通や交換に対してコミュニケーション的関係性を見出してきた。他方で、近年の文化現象に対するメディア論的考察の適用はそのような理解の図式を困難なものとし、メディア論的関係性を前提としながら、主体をその関係性の結節と位置づけるような議論に推移しつつある。だがこのような理解の方法は社会参加する個としてのリアリティを喪失し、市民社会論の枠組みに対しても危機をもたらす。本稿はこれらをめぐる問題に対して、和辻哲郎の人間学的考察を批判的に検討することで、メディア論的関係性と主体をめぐる理解の図式に対して、新たなモデルを示そうとするものである。
- 2004-02-20