<原著>栄養環境の変化による低栄養細菌細胞膜蛋白質の変動
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概要
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通性低栄養細菌は極限状態の低栄養環境でも増殖できるが, 同時に通常の富栄養状態でも増殖できる細菌群である.これを可能にする要因の1つは栄養分の取り込み, すなわち透過性に関係する膜を構成する蛋白質の質的, 量的変化にあると考え, その検討を行った.3株の低栄養細菌を富栄養環境としてのBrain Heart Infusion Agarと低栄養環境としての寒天のみの培地にそれぞれ培養し, 両者における膜蛋白質を二次元電気泳動法を用いて分析し, 泳動パターンの比較検討を行った.低栄養環境で増殖したときの膜蛋白質の数は富栄養環境に比べて減少するが, 富栄養環境ではみられない蛋白質の出現が認められた.特に低栄養環境においても活発な増殖を行う菌株ではこの変化が顕著で, 環境の変化に即応し得る特性を示唆している.これらの菌株をBrain Heart Infusion Brothの濃度を10^<-1>, 10^<-2>, 10^<-3>, 10^<-4>と希釈して栄養環境を段階的に変化させた培地で培養し, それぞれの環境での膜蛋白質の二次元電気泳動パターンの比較検討を試みた.その結果, BHIBの濃度が10^<-1>と10^<-2>の間で新たな蛋白質の発現や特定の蛋白質量の増加がみられた.これは栄養環境が一定のレベルを超えると何らかのメッセージが伝達され, それぞれの環境に適した膜蛋白質が構成されていくことを示唆している.
- 1999-06-25
著者
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