<原著>慢性好酸球性肺炎の胸部単純X線像とCT像の検討
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概要
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慢性好酸球性肺炎の胸部単純X線像, CT像についてはいくつかの報告があるが未だ充分な定説がない.そこで今回慢性好酸球性肺炎の診断を得た31例について胸部単純X線像とCT像を比較検討した.検討項目は(1)初回CT像の解析, (2)初回CT像と初発症状からの期間との関係, (3)初回CT像と胸部単純X線像との比較, (4)ステロイド治療開始後のCT像の変化である.結果 : 初回CT像では, 胸膜に接する濃厚な融合影が12例(39%), すりガラス様陰影を伴う肺野末梢優位の不均等な斑状影や結節影が7例(23%), すりガラス様陰影のみが7例(23%), 胸壁に沿った帯状影が3例(9%), そして無気肺が2例(6%)であった.また, 初発症状から1カ月以内にCT像が得られた11例全例で, 胸膜に接する濃厚な融合影を呈した.初発症状から1-2カ月後にCT像が得られた14例では, すりガラス様陰影を伴う肺野末梢優位の不均等な斑状影や結節影が7例, すりガラス様陰影のみが7例(末梢優位が5例)で, 初発症状から2カ月以上でCT像が得られた6例では胸壁に沿う帯状影が3例, 無気肺が2例, 濃厚な融合影が1例あった.また, 初回胸部単純X線像では31例中17例(55%)が肺野末梢優位の融合影や斑状影を呈したが, CT像では31例中24例(77%)が肺野末梢優位の異常影を呈した.ステロイド治療開始後のCT像が得られた16例でその変化を検討すると, 濃厚な融合影が, すりガラス様陰影に変化して消失したものが9例(56%).不均等な斑状影に変化し, さらに帯状影を経て消失したものが5例(31%)で, 無気肺を呈した2例は変化を認めなかった(13%).
- 近畿大学の論文
- 1997-12-25