<原著>子宮頚部小細胞非角化型扁平上皮癌に関する研究 : 神経内分泌機能解析と新WHO分類との関連
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概要
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子宮頚部小細胞非角化型扁平上皮癌に対し, 種々の免疫組織化学的検討を行い, その生物学的特性について解明を試みた.神経内分泌関連物質neuron specific enolase(NSE), chromogranin, somatostatin, serotonin, 腫瘍抗原としてcarcinoembryonic antigen(CEA), intermediate filamentとしてvimentinの各種モノクロナール抗体を用い, ABC法による染色を行った.神経内分泌関連物質の陽性率は, いずれも大細胞非角化型癌に比べ小細胞非角化型癌で高い傾向を示した.特にNSEでは, 小細胞非角化型癌での陽性率75.9%, serotoninでは, 小細胞非角化型癌での陽性率47.0%を示し, 大細胞非角化型癌に比べ有意差(p<0.05)を認めた.この特徴は, 特に病理組織学的に90%以上の部分が小型の癌細胞によって占められるもので顕著に見られた.しかし, 大細胞非角化型癌にも低率があるが, 神経内分泌性格を有するものがあった.NSE陽性小細胞非角化型癌はNSE陰性のものに比べ, リンパ節転移, 傍結合織浸潤が高率におこる傾向にあり, pTNM術後分類pT2症例での5年生存率は有意い低い値を示した(p<0.01).また, PCNA標識率による癌組織増殖相割合(GF)の検討では, NSE陽性小細胞非角化型癌はNSE陰性のものに比べ, GFが高い傾向を認めた.新しいWHO分類(1994)では, 神経内分泌性格の像を有し, 扁平上皮分化のない肺の小細胞癌に類似する頚部腫瘍を小細胞癌とし, 小細胞非角化型扁平上皮癌と区別している.しかし以上の結果から, 従来のWHO分類の小細胞非角化型癌のうち, 光学顕微鏡的にほとんどを小型の癌細胞で占められるものを小細胞癌としても大きな誤りはないと考えられた.それに加え, 神経内分泌性格は一部の大細胞非角化型癌にも見られ, その発生には小細胞癌と共通の部分があることが示唆された.また, 小細胞非角化型癌の中でも神経内分泌的性格の顕著なものは, 癌の進展が早く, 悪性度が高いことが考えられた.
- 近畿大学の論文
- 1997-06-25
著者
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